社医研センター定例研究会は2月26日に「手話通訳者の健康問題」をテーマに村上剛志理事の報告と討論で開催しました。報告は「労働と医学」163号特集「手話通訳者の労働と健康調査研究報告書」をもとに行われました。
報告は「雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態に関する調査報告書」(令和3年3月 一般社団法人全国手話通訳者問題研究会・略称全通研)について「報告書を取りまとめるにあたって」(垰田和史びわこリハビリテーション専門職大学教授)の内容と調査の概要・調査結果のまとめを中心にして村上理事と手話通訳者問題研究会の活動の関わりのエピソードも紹介しての内容でした。
今回の調査は、全通研、全日本ろうあ連盟、日本手話通訳士協会、全国聴覚障害者情報提供施設協議会と専門家が調査委員会をつくり厚生労働省の補助事業として実施しています。
手話通訳という行為が手話言語と音声言語間を同時通訳する行為であり、高度な言語能力に加えて中枢神経の視覚・聴覚や運動能力を駆使する高度な作業です。そのため手話通訳業務負担が頚肩腕障害を発症させてきています。
1990年から5年ごとに手話通訳者の健康が守られ、より良い手話通訳制度実現のための課題を明らかにするために「雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態調査」を実施しています。この調査では手話通訳者の労働と健康問題と殊遇改善問題を手話通訳制度の課題としてとらえることができ、改善点が明らかになり、この調査結果の活用が重要です。
調査結果から健康問題では、雇用された手話通訳は高齢化しており、年齢や健康状態が原因で仕事が継続できない不安をもっています。腕の痛みの訴え率はこの間改善傾向にありますが、頚や肩の痛みは3人に1人が自覚する状況が続いています。特に自治体正規職員、医療機関の手話通訳者、電話リレー業務従事者では、さらなる業務・環境管理の改善と健康管理が必要です。
それにいま手話通訳業務に加え、業務の多様化による「高ストレス」が健康に影響しており、ストレス対策が重要になっています。
健康障害の予防活動として、ストレッチ体操や特殊健診の実施は定着してきましたが、健康を守る予防のための学習会・研修会の参加状況は依然として改善していません。そのためこれを個人任せではなく、雇用主の責任で職場での学習会・研修会の開催や地域での学習会・研修会へ参加を保障させる取り組みが必要です。
最後にまとめでは、今後の課題は手話通訳制度の抜本的改善の必要性として、公的な手話通訳制度の強化、養成過程における専門性の確立、正規職員雇用の確立、そして手話通訳者が健康を守り生き生きと働き続けられるための改善と手話通訳者の高齢化に対する対策の必要性を提起しています。(佐々木)