第170回 定例研究会「学校の労働安全衛生学校」報告

社医研センター定例研究会は1月30日に「学校の労働安全衛生学校(12月1日)の報告」をテーマに大里総一郎理事の報告と討論で開催しました。

 最初に現在の学校をめぐる状況では、学校職場は過労死ラインを超える長時間労働であり、精神疾患による病休者が増え続けている実態であることが、加藤弁護士報告と職場の実状をふまえて話されました。

 この長時間労働を解消するためには、残業代不支給の撤廃、授業コマ数の削減と教職員の抜本的な増員が必要であること、それに職場の労働安全衛生活動が重要であることが提起されました。

 続いて、4つの講座の内容のポイントが紹介されました。

(1)労働安全衛生法と労働契約法(安全配慮義務)(加藤健次弁護士)は、現行法を活用した職場  環境の改善(①労安法の活用、②管理者の安全配慮義務)

(2)労働安全衛生活動―学校衛生委員会の構成と活動内容、衛生管理者・推進者の役割(大里総一郎衛生管理者)は、①労安法とは何か、②誰が守るのか、③どう守るのか(職場環境、働き方、健康管理)

(3)労働安全衛生活動の推進と役割(杉本正男産業カウンセラー)は、①教育委員会の責務と役割、②管理職の責務と役割、③教職員の権利と役割

(4)メンタルヘルス対策とパワハラ対策(阿部真雄産業医)は、自己努力を超えて、ストレスチェックは心の職場巡視、結果で対話を深め、ジョブクラフト(労働者のパワー)が成長するための支援が必要

 (これら講座の講義レジメ資料は、『労働と医学』164号特集労働安全衛生学校に全部収録されていますので参照して下さい)

 次に、「すべての職場に衛生委員会と産業医を」と、中教審の提起の活用が力説されました。それは、「教職員50人未満の学校には、産業医や保健師を選任し、労働者の健康管理等を行わせることが努力義務となっているが、公立学校における選任率は約7割にとどまっているため選任率を更に向上させてゆくことが必要である。」

さらに「教職員50人未満の学校においては、衛生委員会の設置は義務づけされていないものの、学校全体において、学校保健委員会等の既存の委員会も活用しながら、衛生委員会と同様の審議や意見交換を行うことを推進すべきである。」(「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保の環境整備に関する総合的な方策についての審議のまとめ2024年5月13日)

最後に、今後の活動方向として、さらなる学習と交流の展開(6月と11月)、実行委員の補充、日常的な質問・相談の場の設置(交流会ライン)、措置要求運動の提起がされました。

討論では、これまでの教職員の労働安全衛生活動の前進と課題、50人以上の高校の活動の活発化と50人未満の義務制小中学校の衛生委員会設置、労働組合の労働安全衛生活動の位置づけと強化、医療現場での労働安全衛生活動の現状など活発に意見交換されました。

また、いの健全国センターの総会と理事会で、全教の役員からこの労働安全生成学校のとりくみと労働安全衛生活動の重要性が話されました。(佐々木)